あなたと私のカネアイ
ソファに座ったら、大きなため息が出た。
彼を意識して力が入って凝り固まった首を回しつつ、テレビのチャンネルをいじってみる。見たい番組があるわけじゃないけど、カラフルな画面を見ながらぼんやりする時間は好きだ。
ドラマを見ることもあるし、バラエティで芸人の何気ない一言に笑ったり、再放送の映画で泣いたり、いろいろだけど。
今日は、面白そうなクイズ番組にしよう。チャンネルをテーブルに戻し、コーヒーを啜っていると、私の隣に円が座った。
ついてきた……これも、毎回のことだ。私はマグカップをテーブルに置くときに、さりげなく座る位置をズラして彼と距離を取る。
「結愛、そんなに嫌がらなくてもいいでしょ?」
円が苦笑しながら、私とお揃いのマグカップをテーブルに置いた。距離を置いて座る新婚夫婦とは対照的に、マグカップに描かれたねずみのカップルはキスをしてて、なんだか少しおかしい。
「別に……ここが私の定位置だから」
ソファの端っこ――大きめのものだから、円が普通に右側に座っていても距離はそれなりにとれる。
「でも、俺が座らないときは普通に座ってるし。それとも、俺、臭う?」
「臭わないけど……」
クンクンと、自分の体臭を確かめようと必死な様子の夫を呆れながら一瞥し、テレビに視線を戻すと微かに円がため息をついたのがわかった。
何よ、ため息をつきたいのはこっちの方なのに!
彼を意識して力が入って凝り固まった首を回しつつ、テレビのチャンネルをいじってみる。見たい番組があるわけじゃないけど、カラフルな画面を見ながらぼんやりする時間は好きだ。
ドラマを見ることもあるし、バラエティで芸人の何気ない一言に笑ったり、再放送の映画で泣いたり、いろいろだけど。
今日は、面白そうなクイズ番組にしよう。チャンネルをテーブルに戻し、コーヒーを啜っていると、私の隣に円が座った。
ついてきた……これも、毎回のことだ。私はマグカップをテーブルに置くときに、さりげなく座る位置をズラして彼と距離を取る。
「結愛、そんなに嫌がらなくてもいいでしょ?」
円が苦笑しながら、私とお揃いのマグカップをテーブルに置いた。距離を置いて座る新婚夫婦とは対照的に、マグカップに描かれたねずみのカップルはキスをしてて、なんだか少しおかしい。
「別に……ここが私の定位置だから」
ソファの端っこ――大きめのものだから、円が普通に右側に座っていても距離はそれなりにとれる。
「でも、俺が座らないときは普通に座ってるし。それとも、俺、臭う?」
「臭わないけど……」
クンクンと、自分の体臭を確かめようと必死な様子の夫を呆れながら一瞥し、テレビに視線を戻すと微かに円がため息をついたのがわかった。
何よ、ため息をつきたいのはこっちの方なのに!