あなたと私のカネアイ
「昨日のお洋服なら大丈夫だと思うけど、これ、気をつけてね」
「へ……?」

 そこへ視線を落とすと赤く虫刺されのような痕ができていて、首を傾げる。
 寝ているときに刺された? でも痒いわけじゃないし、気をつけてって何に――?
 と、そこで一気に顔に熱が集まってくる。
 
 まさか……!

「――っ!?」

 上げそうになった悲鳴はなんとか呑み込んだものの、円のご両親に対する申し訳なさが膨れ上がった羞恥とともに爆発し、私はその爆風に押されるように和室へと駆け戻った。

「円!」
「あ、結愛。お布団畳んでおいたから。はい、着替え」

 顔を真っ赤にして叫ぶ私を見ても動じることはなく、円は私が枕元に畳んでおいた洋服を手に持って差し出してくる。
 あまりにも普段通りの態度に、私は口をパクパクさせるのが精一杯だ。言葉が出てこない。

「まったく、結愛ってば無防備に寝ちゃうから。俺はちゃんと忠告したし、それだけで我慢したことは褒めて欲しいな。見える愛ってやつ? これで少しは信じてくれる?」

私がようやくキスマークに気づいたことがおかしいのか、クスクスと笑いながら……私の宇宙人(だんな)はそう給った。
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