空と虹の境界線


ずっと、不安だったこと。


あの日は、夢だったんじゃないかって。



「平助君が、わたしを好きって言ってくれたの・・・夢だったんじゃないかって」



何でだろう。声が震えて仕方ない。


目頭が、カッと熱くなるのが分かる。



「分からなかったの、平助君が」


「ごめんな、鈴。でもさ僕、鈴のこと・・・本当、好きだから。

大好きすぎて、おかしくなる位」



そっとわたしを抱きしめる、優しい温もり。


壊れていく、心の枷と涙腺。


涙が頬を、とめどなく伝っていった。


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