空と虹の境界線


安心したからか、体から力が抜ける。


眠っている平助君の背中に、そっと手を回す。



そして、離れないように、離されないように――――


ぎゅっと、握り締めた。




平助君。


空と虹は、絶対に交わらないけれど。


溶けることはあっても・・・それ以上にはならないけどね。



この妙な境界線も、自分の手で壊せるんだって。


そう教えてくれた子がいたんだよ。



名前の通り、ずっと残り香を漂わせる力を持った・・・そんな少女に。


あの夏の日、わたしは出会った。


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