君の夢と、
扉を開けた瞬間、ステージにいたのは、ヴォーカルとギターとベースとドラム。
いたって普通のロックバンドだった。
観客は…私だけ。
なんか、贅沢なんですけど。
ジャーンとギターが鳴り、ドラムが鳴る。
「ユメナちゃん。はよ前列行きなよ。まあ、スタンディングだけど」
「え、あ、はい」
おっさんに急かされ、前の方に行くと、ヴォーカルと目が合った。
吸い込まれそうなくらい大きな目、緩くかかったパーマ、白い肌。
少し大きめのTシャツにジーンズって言う、バンドマンらしい格好だった。