本当はね…。

「…ったく…。お前らは中学生どころか小学生レベルだな…。」
ミサキ先輩が制裁し、騒がしい状況がおさまった。
「だって、七瀬がっ‼」
膨れながらお互いそっぽを向く私と佐々舞尋。
「だってじゃないっ。」
ミサキ先輩が困ったように軽く佐々舞尋の頭を叩いた。
「七瀬もだぞ?お前の方が熱くなってどうするんだ。」
佐々舞尋を前にその発言もどうかと思うが…。私の方が年下ということを踏まえて言っているのだろうが…。
「…すいませんでした…。」
ここは大人しく謝っておく。
ミサキ先輩はニコニコしたままだが、内心何を考えてるのか…わかったもんじゃない。
私が謝るとミサキ先輩はうなづき、自分の席に座った。
すると…。

「歓迎会しよっか。」

沈黙が流れる前にそれをぶち破ってきた可愛らしい声。もちろん主はユキ先輩。
誰もが首をかしげた。
けど、ユキ先輩は可愛らしい笑みを崩さず…。
「チサちゃんの歓迎会。やるべきでしょ?」
いつの間にか私の腕に引っ付いていたユキ先輩。
そして、それを見てなぜかまた不機嫌になる佐々舞尋。
………。
…なんで?なんで不機嫌?
「まぁ、落ち着けって舞尋。」
楽しそうに笑うミサキ先輩になだめられている佐々舞尋。
……まぁ、いいか。
それにしても、歓迎会って…。
「今日はもう無理だからさ、今度の日曜日。ね、チサちゃん。良いでしょ?」
……良いでしょって言われましても…。
私は正直そういうのは苦手で…。
って言おうとしたんだけど…。
「…ダメ?」
私の腕に引っ付きながら、上目遣いで私を見つめるユキ先輩。
こんな可愛いことをされて断れる勇者がどこにいるだろうか…。
「もちろんですっ。」
…いや、いないであろう。
「やったぁ‼楽しみだねぇ。」
私の返事に子供のように飛び跳ねるユキ先輩。
「…まぁ…いいっか…。」
歓迎会してくれるのは好意なわけだし、ここは…ね?
自然と笑みがこぼれた。
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