本当はね…。

「ちょっ…千咲⁉」
気づけば走り出していた。親友が私を呼ぶ声は聞こえたけど、そんな事よりもこの状況についていくことで精一杯な私だった。
なんなの…。なんなの?なんなんだ、これはっ‼
考えられるのはただ1人だった…。

ーバンッー

勢いよく生徒会室の扉を開ける。
「一体どういうことですかっ⁉」
怒鳴り声と共に掲示板から強引に引き剥がしたプリントを机に叩きつけた。
「私、生徒会なんて入りませんからっ‼」
私の鋭い目線の先には1人の男が少し驚いたように私を見つめて立っていた。
そして、しばらく沈黙が流れる…。
それを先に破ったのはその男だった。
「……まさか…、お前……七瀬…か?」
…………。
……は?
「ふざけてます?」
信じられない言葉に思わず止まってしまった。
「私は真剣なんですっ。」
気を取り直して再び鋭い視線をその男に向ける。すると…
「ちょっと、それ貸して。」
その男は私の手からプリントを抜き取った。そして、固まった…。
「…やられた…。」
それだけつぶやいて…。




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