タイムマシン@七月七日
□■□


薄暗い研究室。

腰を曲げた老人と背を伸ばしている黒髪の麗人が話していた。



『なんと!タイムマシンが出来たというのか?…いたっ』


腰を曲げた老人の腰が綺麗にぴんとなる。

腰を痛めたのか、また腰を曲げた。


『ええ。しかし過去に行って行動を起こした場合、未来が書き変わってしまうのかと…』


黒髪の麗人は顎に手を添え、考える。

その姿は実に絵になっていた。

その絵を遮るかの如く、老人は彼の2つの手を握った。

それをブンブンと大きく振った。


『流石、我輩の弟子!…しっかしまぁ先生の我輩より有能なのはなんか複雑な気分よのぉ』


老人が苦笑する。

麗人は顔を赤らめた。


『おっ…お褒めにいただき恐縮です。…で私も過去に行ったのですが何もしてないので過去で何か行動を起こした場合の行動パターンがいまいち不明瞭なのです』


老人に礼を言い、近くにあった椅子に座った。

そして背もたれにだらけたように寄りかかる。

それすらをも絵になっていた。


『でもよく言うよのう…。過去で何かをしたら、それは未来では何かを書き換えてしまう。…偶然、女の子に話しかけただけで、日本が消滅…なんて物騒だったな…。すまんのぉ』

『しかしそれも本当に起こる可能性もあります…よね』

『だが、ここでタイムマシンを諦めるなど、人類の名がすたるであろう!』

『そうですねっ!全くその通りです!流石です、先生…っ!』

『『………』』

『本当にどうしましょうか…?』


二人の研究者は頭を抱えた。


< 2 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop