Second Light
☆9
初めての愛情
《胡桃side》
「今日は、全部忘れるんだ」
自分に言い聞かせるように、強く言葉を発する。
今日だけは、自分が裏の人間だということを全部忘れて、楽しむんだ。
この誓いを胸に、私は、いそいそと部屋を整える。
いや、部屋を “整える” という表現が少しおかしいのはわかっている。
でも、ほとんど家具のないこの家。
ちょっと買ってみた小物を置いたり、部屋に無臭の防臭剤を置いたり……
これを “片付ける” と表現するのはおかしい気がする。
「何かしないと……!!」
落ち着かない。
ソワソワする、この不思議な感覚が消えてくれないのだ。
なぜか?
発端は潤の一言だった。