Second Light
「那津………」
どのくらいの時間が経ったかわからない。
泉の弱々しい声が、聞こえた。
「はやく………追いかけなさい…」
何を、なんて聞く必要はなかった。
顔を上げれば、鈴波の姿は見えない。
「自分の、……死ぬ瞬間くらい、わかるもの。」
泉の瞳に、既に色は無かった。
宙を漂う視線が、不意に俺の瞳と重なる。
「そ、れに………好きな人に、死に様を見せたくないの。」
微かに笑った彼女は囁いた。
小さな小さな声で……
「いきなさい」
それは、“行く” が正解なのか “生きる” が正解なのか、わからなかった。