Second Light
「鈴波」
「その名前、私の名前じゃないの。」
鈴波は、無意識になのか、俺に聞こえるか聞こえないかギリギリの音量で話す。
「私、リンって言うの。」
「リン?」
出会った当初の三つ編みお下げも、昭和スタイルも……
全部、今の……鈴波には残っていなかった。
「名字は知らない。
これも本名じゃないのかもしれない。
ただ、私の持っている名前はこれしかないの。」
「じゃあ、鈴波でいいじゃねえか。」
俺のその言葉に、鈴波は振り向いた。
「お前の名前。俺に呼ばれてたんだ。
凛堂 鈴波でいいだろ。」
「凛堂……鈴波…」
何かを汲み取るように、宝物のように……鈴波は呟く。
それはどこか嬉しそうでもあった。