Second Light



泉の言っていた、自分の死ぬ瞬間くらいわかる、ってやつか。




「鈴波…………本気でお前のこと好きだったよ。」



情けないことに、自分の力で立てない俺は、鈴波に寄りかかっている。




「…………。」



鈴波は何も言わず、俺を下に横たえる。




何も言わなくて、いい。



聞いてしまったら、俺はきっと、未練が残るから。


お前と出会えたことを、呪うかもしれないから。




何も喋らない鈴波。



けれど、その瞳に溜まる涙に……彼女は気付いているんだろうか?




「また、会おうな……」




俺は、ゆっくりと瞼を閉じる。



微かに残る意識が遠のいて行くことを感じた。







「那津………愛してる。」



微かに聞こえたその言葉。




けど、俺がこの世に残したのは……



未練でも呪いでもなく、


愛おしさだけだった。





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