紅炎と雷炎 ②
美樹「うん…
あたしはね、人を殺したの……
大切な仲間を…
あたしが紅炎に入ったのは小学6年の時。
けんちゃんもとい、今の理事長に誘われて入った。
あたしは中学生になるまでの間にどんどん力を付けていった。
中学に上がると同時にメンバーの総入れ換えが合ったんだ。
総長、副総長、幹部のね…
そこであたしは紅炎の幹部になった。
けんちゃんは八代目の総長だから、九代目の総長になったってことだね。
その九代目の総長は雅文-マサフミ-っていうんだ。
雅文はあたしの2個上の先輩で、あたしは雅文を本当の兄妹のように慕ってたんだ。
でもね、あたしはその時、幹部になったことで、自分は強い、って舞い上がってたんだ。
で、案の定浮かれてたあたしは敵に囲まれました。
でも、あたしは負けてなかった。
後10人くらいのときに雅文たちが来たんだ。
あたしは一瞬雅文たちのほうを見てしまった。
敵が目の前にいるのに…
相手は刃物を使う連中…
あたしはそれなのに、雅文たちの方を見てしまったんだ!
そして、その隙に相手はあたしに刃物を降り下ろした。
あたしはグサリと……刺されることはなかったんだ…
刺されていたのは雅文だった。
雅文は紅炎のなかでも一番の俊足だった。
だから、あたしが刺されそうになってるところを見て駆け出した。
そして、刺された。
雅文は死んだ…
刺されたところが悪かったんだ。
雅文は…
『次の総長は美樹、お前がなれ! お前ならあいつらを引っ張っていける! 頼んだぞ…』
って言って死んだ。
油断して刺されそうになったのはあたし…
あたしが死ねばよかったのに死んでしまったのはみんなが大好きな雅文…
その雅文が次の総長に選んだのはあたし…
紅炎のみんなが納得するはずがない。
みんな、あたしの話を聞いて、冷静でいられるはずがない。
あたしに、
『人殺しがなんで、俺らの総長なんだよ』
『お前が死ねばよかったのに…』
って色んな言葉をはいていた。
あたしは本当のことだから何も言い返せなかった…
でも、そのとき、自分に雅文に誓ったんだ“紅炎のみんなはあたしが守る。 もう誰一人死人は出さない”って…」