lie ダウンロード ~序章~
~だるまさんが逃げ出した~
~だるまさんが逃げ出した~
『・・・つまんない。幼稚園ってこんなにつまんないのか。日本ってこんなにつまんないの か。地球ってこんなにつまんないのか。世界って・・・』
僕は、5才ごろから、この世界に飽きていた。とてもちっぽけな世界で、視野は広がらない。
何も楽しくない。ただ毎日を、なんとなく生きていた。そんなことを、体育館の窓から外を眺め、考えていた。どうしたら・・・面白く・・・。
「つまんねぇ。」
ダッダッダッ!!
・・・!!
この足音・・・俺の方に向かってくる!
・・・またあいつか。
「だるまくーーーーーん!!!」
俺は軽く体を逸らした。
「おわーっっぷ!!!」
ドッシャァッ!
その少女。俺の目の前ですっ転んでるやつ。田島ナナ。俺と同じく。5才。
「また随分とハデに転んだな。ナナ。」
「だるまが避けるから!もう!」
こいつが言っている「だるま」は、俺の名前。板垣だるま。5才。
「で、ご用件は何だい?」
「だるまさんが転んだをしよーっ!!」
「ハァ!?またかよ!!」
「だって楽しいんだもんっ!!だるまさんが転んだ!!!」
・・・嘘つけ。「遊び」が楽しいんじゃなくて「俺」といると楽しいんだろうが。
他の人とは全く遊ぼうとしないんだ。コイツ。
「ジャンケンッポンッ!!」
「うげっ。俺鬼かよぉ。」
チョキとパーで俺が負けた。
「でもぉ・・・。」
「ん?」
「普通のだるまさんはつまんないから・・・、だるまさんの一日にしよぅっ!」
「・・・っち。」
俺の嫌いなヤツじゃねえか。だからコイツは嫌なんだ。
でも・・・。
この日常に、いつのまにか入浸っていた・・・。
『このままでもいい・・・。ずっと、永遠に・・・。』
「じゃあやるぞー!」
『今日も・・・・・。』
「オッケー!!」
『普通に1日が過ぎる・・・。』
「だ~る~ま~さ~ん~が、」
『でも、もう、ゲームは始まっていた・・・。』