初恋!応援団

※紅葉通りの帰路は、
 オレ、滝沢がお送りします。

「歩夢、機嫌悪いの?」

さっきから、オレの腕引っ張って。
ズンズン進んでく。

「だって、なるがぁ。」

言いたいことは分かるよ?
お腹空かせて、
ずぅっと待ってたのに。
帰っていい、なんて言われて。

・・・拗ねてんだろ。

「まぁまぁ、
 朝来てくれるんだろ?」

オレが思うに、
それだけで感謝するべきだと。
まぁ、言ったら殴られそうだし
言わないけど。

「いっつも、時間5分前に
 きてるよ。」

「うわ、良いやつじゃん。」

苦労してんなぁ、なるも。

「なる、
 タックーと帰ってんのかな。」

「なに、妬いてんの?」

「むぅ・・・、
 そんなんじゃ、ないよ。」

うそだね、

「拓真、気まぐれだからなぁ。
 一緒に帰ってるかもなぁ。」

嘘つかれて、ちょっとイラっときた。
わざと、ののが気にしてること言う。

「いいよ、もぅ。
 タッキーいるから。」

「オレ、なると同等かよ?」

「それ以上だから、
 安心してよ。」

ちょっと、笑ってしまった。
思えばコイツと知り合ったのは
家近かったから
5歳くらいだったなぁ。

「タックーとなる、
 仲良くなるかな?」

「拓真が気に入れば、な?」

拓真は、実は難しいやつだ。
愛想良くしていても、
本当に心許してる人間は
ごく少数みたいだ。
実際、オレにも壁作ってる時あるし。
ののにも、壁作ってる。

「なるは気づくよ、
 タックーが中身
 見せない人だってこと・・・。」

「あぁ、なるは。
 鋭そうだと思った。」

オレのことも、
探るような目で見ていたし。

「そういえば、お前さぁ・・・。」

「うん?」

白々しい奴。

「なんで、拓真のこと
 知らないフリしたんだよ?」

そぅ、朝のはなし。
拓真を見て、何も知らないなるに
『だれ?』って聞いたのを
オレは聞いた。

「うん、ちょっと。
 気まぐれ??」

「なんだよ、それ。」

オレは意味不明だと思った。
納得いかなそうに頭をかく。

すると、いきなり

「明日の朝、一緒に登校しよ。
 もみじ公園集合だから。」

「え、なる来るんだろ?」

「うん、
 3人で登校しよう、ね?」

「あぁ、良いけど・・・。」

「タックーと仲良くなってるか。
 探るの!
 気になるでしょっ?」

「うん、まぁな?」

探るって言い方は、
ちょっと気が引けたけど。
歩夢の誘い方はいつも、
『絶対、楽しいから!
 断ったら、後悔するよ?』
と言いたげな誘い方で。
つい、乗っかってしまう。

家がみえた。

「よぉっし、お腹もすいたし。
 じゃーね!」

「おう、寝坊すんなよ。
 明日。」

そうして、長いような短いような。
一日は幕を閉じた。
 


 


 





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