初恋!応援団
「名前、決めた?」
何十分経ったんだろう。
不意に、雅が口を開いた。
「え、うぅーん...。」
いきなり話しかけられて、
びっくりした。
とっさに考えたものの
柴犬だし、日本風な名前が良いな。
そんなことくらいしか
思い浮かばなかった。
「ううん、決めてない・・・。」
「じゃあコノハ、ってどう?」
「木ノ葉?」
こ・の・は。
雅にしてはまともだ。
『太郎』とか言われたら
どうしうようかと思った。
「あそこ、昨日いった場所。
『木ノ葉河川』だから。」
「あー、なるほどね!
いーじゃん!!」
可愛らしいと思った。
雅が決めた名前、っていうのも
なんだか笑えた。
「雅も、ちゃんと
考えたりするんだね。」
「気が向いた時だけな。」
「じゃぁ、
今回は気が向いたんだね。」
雅が初めて、自分から
考えを話してくれたような気がした。
「まーな。」
「うん、いいと思う。」
私が頷くと
「おー、じゃ決まり。」
といって、立ち止まった。
斜め後ろにいたから、
ぶつかりそうになりギリギリこらえる。
「どうしたの?」
「ここ、家。」
「・・・え?」
「ちょっと、コイツおいてくるわ。」
「あ、うん。」
雅は、きゃんきゃんと唸る
コノハに首輪をかけて
戻ってきた。
「いこ、もう10分だった。」
「え、あと20分しかないじゃん!」
「おぅ。」
「おぅ。って・・・
間に合うかなぁ~。」
「間に合うよ、全然。」
雅に言われると、疑いたくなる。
「疑ってんのかよ。」
雅の不機嫌そうな眼差しで
睨まれる。
「うん、ちょっと。」
「じゃー、急ぐ?」
「っぇえ?」
走り出す、めっちゃ早い。
ついていけるワケが無い!!
「ま、まって!!」
「じゃぁ、疑うんじゃねーよ。」
「くっそぉ・・・。」
雅の満足そうな笑顔が見える。
あー、こんなことしてたら
本当に遅れちゃうじゃん!!
「歩いて、いこ??」
「・・・わぁったよ。」
珍しく言うことを聞いてくれた。