初恋!応援団

7:30a.m ~もみじ公園~

もみじ公園は、並木町紅葉通りにある
小さな公園だ。
ちょっと錆び付いたブランコ。
階段が狭すぎる滑り台。
ギコン、バタン。と鈍い音をたてる
シーソー。
細長く空にのびる時計、
電柱にくくりつけられた粗末な蛍光灯
そんな公園の中央に
大きな木が一本、たたずんで。
涼しい風を誘っている。
近くには、木製で塗装がはげた
ベンチが。
...お世辞にも綺麗とはいえないが、
住宅地の片隅にある
人気が少ない
私とののが見つけた穴場スポット。

狭い公園を見渡す、

「あー、やっぱり来てない。」

ののの姿がどこにもないと知り、
そんな声が漏れる。

「やっぱり、か...。」

雅もあきれた様子で、
ベンチにドカっと座った
「すぐ来ると良いんだけどなぁ。」

ののは、いつも遅れてくる。
自分から誘ったくせに、
酷いときは3時間も遅れてきた。

「雅、隣に座っていい?」

教科書、本当に重い、
長距離歩いたせいもあって
足が疲れて肩も重かった。

「勝手にしろよ。」

素っ気なく返された
でもまぁ、立ってろと言われないだけ
マシか。
ギギっと、鈍い音が鳴った。

「そういえば雅とたき君って、
いつから仲良いの?」

ふと頭に浮かんだ。
昨日から思ってて、
ずっと聞こうって思ってた。
答えてくれそうに無かったから
聞かなかったけど。

「あー、幼稚園。」

「え、付き合い長いね!!」

「喧嘩してばっかりだったけどな。」

懐かしむように目を細めた。

「ふーん......。」

雅が私に、そんな話をしてくれたのは
意外だった。

「なーるー!!」

遠くで声が聞こえた。
のの!?

「あ、バカのお出ましだな。」

「え?」

雅って、ののに昨日
はじめて会ったはずだよね?
どうしてそんなこと言えるんだろう?

「あれ、たき君もいる。」

昨日、ののが誘ったのかな?
なれてないのに朝から走って、
ハーハーいってるののに比べて。
涼しい顔でランニングしてる。

「うっわ......。」

突然、雅が唸り声を上げた。
ギギっと、椅子に体重をかける。

「どうしたの?雅...。」

問いかけても
なんにも応えてくれなかった。

だいぶ2人が近くにきたところで
「おはよ。」

と、挨拶。

2人とも、いるはずのない雅の存在に
早くも気づいたみたい。

「.....はよ。」
「あれ、タックーじゃん!」

「あ、一緒にきたの。
方向一緒だったし、意外と家....
近かったから...。」

ののがなんか、ニヤニヤしはじめた。
嫌なよかんがして、
だんだん声がすぼんでく......。

「あっれ、
もぉ仲良くなったのぉ?」

案の定、悪ノリするのの。
いつも以上にニヤついて、
私にグッと顔を近づける。
雅にも、チロリと視線を移す。

「うっせーな。
家が近かったっつってんだろ?
聞こえてんだろ.....,」

声低っ、すんごい殺気。無表情。
どんだけ機嫌悪くなってんの?

「なにアツくな、っ、て、ん、の?」

うわ、ののたら勇者。
雅の顔がもぅ、今にも殴りかかりそう。

「はいはいはい。
朝から喧嘩はやめましょう。」

そこに、慣れてるさ。と言わんばかりにたき君はヘラっと笑いって間にはいる。

「早くいかねーと
オレ、朝練間に合わねーわ。」

「あ、そうなの?
早くいかないと!ね??」

私も説得するように、2人を見比べる。

「......別に、喧嘩とかじゃねーし。
ムカついただけ。」

「ごめんねー?
ちょっとからかっただけだよぉ。」

「のの、そのちょっとをののが言うと
腹立つから。気をつけなよ......。」

「うぁ、ひっどーい!!」

「てめーの、子供みたいな
甲高い声が耳障りなんだよ......。」

雅、また余計なことを......。
面倒だな、この2人。

「早く行こうってば!
朝から喧嘩しないで!」

「そーだぞ、いい加減やめろって...。」

.......薄々気付いてたけど、確信した。
この2人、相性わるい。

「わかってるよぉ、もぅ。」

「別に、喧嘩じゃねーし。」

私とたき君に言われて、
ふて腐れるのの。
鬱陶しそうにそっぽを向く雅。

ちょっぴり重い空気と一緒に、
7時40分
公園を後にした。






























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