生意気なKiss





「…!」





瞬間、思わず目を瞠る。





「どうですか??」





待ちきれない、といった感じで真木が聞いてきた。






「…うまい」





「ほんとですか!?
やったー!♪♪」






ニカッと微笑む真木は今まで見たどんな表情よりも嬉しそうで。






口にいれた瞬間にフワッと溶けた卵焼きは、ほのかに甘くて優しくて、どこか繊細だった。






「…マジでうまいな…お前料理の才能あるんじゃねーの?」





「そう言ってもらえると嬉しいです♪
俺将来、料理人になるのが夢なんで!」




「…え?そうなのか?」




「ハイ!!
まぁなれるか分かんないんですけど…」




「いやなれるだろ」





ほうれん草のお浸しを口に運びながら、あたしはそう断言する。





「こんなにうまい料理作れるんだから」






< 105 / 246 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop