生意気なKiss
「…で、相談って何だよ」
その時あたしが頼んだチャーシュー麺と、工藤が頼んだ味噌ラーメンが運ばれてきた。
あたしはこれ以上真木の話題になることを避けるため、工藤にそう話を振る。
「あ、あぁ…」
途端に顔をほんのり赤くして落ち着きがなくなる工藤。キモいぞ。
「…あ、あのさぁ…お、俺…自慢じゃねーけど彼女とかいたことないんだよな」
「だろうな」
「だろうなって何だよ!」
「うるさい早く話せ」
「お前な…で、自慢じゃねぇけど好きな奴とかも今まであんまいたことなくて…可愛いとか思う女子はいたけど…
でも何か今回は違うんだよ!なんていうのかその子を見てるとこう、ギューッと胸が締め付けられて、いてもたってもいられなくなる、っていうか…」
「へー…」
要するに今、工藤は好きな子がいるということか。
「で、その子にどうアプローチしたらいいか迷ってるとか、そーゆーことか?」
「そうなんだよ!!葛城にしては鋭いな」
ラーメンぶっかけるぞコラ。
「てゆーか何でそんなことあたしに聞くんだよ…」
一番向いてないジャンルだろ!!!
「だって俺お前以外に女子に話せる奴いねぇんだもん!
その子お前とも結構仲いいし…」
そうなのだ。
基本的にいつもチャラチャラしててうるさい工藤だが、女子を前にすると借りてきた猫のように急に大人しくなるのだ。
あたしは女子に見えないから話せるらしいけど。
ていうかそうか、その子あたしと仲いいのか…
「…言っとくけど愛海彼氏いるぞ」
「小山内じゃねぇよ。
俺はもっとボーイッシュな感じの子がタイプなんだよ」
あたしはやはりラーメンをぶっかけてやりたい衝動にかられた。
お前ごときが愛海にケチをつけるな!!!