生意気なKiss
「…それから何か、ずっとセンパイのこと気になってて。
学校ですれ違っても、声かけることもできなくて。
…なんか声かけたらうるせぇって怒鳴られそうだったし…」
…あたしそんな風に思われてたのか…
完璧に怖がられてるじゃんか。
「でもそんな時、たまたま始めたバイトで愛海センパイと一緒になって。
愛海センパイがセンパイと仲いいっていうのは知ってたから、これはもう行くしかないなって思ったんです。
…センパイのことはじめはもっと怖い人かと思ってたんですけど」
やっぱり…
ズーンと落ち込むあたし。
そんなあたしを知ってか知らずか、真木は言葉を繋げていく。
「…俺がなんか言う度に、あからさまにムカついた顔したり、びっくりしたり、…赤くなったり。
コロコロ表情変えるセンパイがすっごく可愛くて」
真木がギュッと手に力をこめる。
「…気付いたら自分でも信じられないくらいハマってました」
…真木…
「…顔赤いぞ」
「…今そこには触れないでくださいっ」
言っときますけど、と口を尖らせる真木。
「追われることはあっても、こんなに自分から追ったことなんて初めてだったんですからね。
俺モテるから」
「お前な…自分で言うなよ」
「さっきセンパイも言ってたじゃないですか」
うるせー、と真木の胸に頭突きした。
…なんか、目頭が熱くなるのを止められそうになかったから。