生意気なKiss
「…ありがとな、真木」
あたしが自分の道を見つけられたのは
「真木のおかげだ」
「…俺何もしてませんよ?」
「お前が夢に真っ直ぐ向かってんの見て、このままじゃいけないと思ったんだ」
そうじゃなかったら多分、なんとなくA大に進学して、なんとなくな毎日を送ってた。
「…ありがとう」
真っ直ぐ真木の目を見つめてそう言うと、真木はちょっと大きく目を見開いて
グイッとあたしの肩を引き寄せると
チュ
唇に触れるだけのキスをした
「……おい。
ななな何で今!?」
今そういうタイミングじゃなかっただろ!?
すると真木は全く悪びれる様子もなく
「だって何か今のセンパイ超かわいかったんですもん♪グッときました♪♪」
「はぁ!?お礼言っただけだろ!!」
「しょーがないですよ♪キスしたくなったんですから♪」
コイツには理性というものがないのか!?
と思ってる間にも真木はもう一度あたしに顔を寄せてきて
「おいっ!こっここは学校だぞ!?」
「でも誰もいませんよ?♪」
「そういう問題じゃない!!」
必死に顔を逸らすあたしの頬を両手で包むと
「…センパイ、好きです。
これからもずっと俺と一緒にいてくださいね?」
とんでもなく優しい表情でそんなことを言うもんだから
「……うん」
あたしは頷くしかなくて。
次の瞬間には極上の甘いキス。
でもどこか生意気で。
…あたしは多分、一生このキスに慣れることはないんだろうなと、ボンヤリした頭の中で思った。