生意気なKiss
『…いいですか?』
『っ今更聞くなよ』
『ですよね…』
昨日の、いつになく切迫した瞳の真木が嘘のように、スヤスヤと心地よさそうに寝ている真木。
何度も何度も『好き』って言ってくれた真木。
昨日はあたしも何だかいっぱいいっぱいで、それに返す余裕なんて微塵もなくて
「…好きだよ」
夢の中の真木に囁くようにそう言えば、パチッと真木の目が開いた。
「…知ってる☆」
「えっ…わ!!」
驚く間もなく強く腕をつかまれ腕の中に閉じ込められる。
「おっお前!起きてたのか!?」
「センパイの可愛い声で起きました♪」
なんて朝から相変わらずの真木。
「…朝から煽ってるんですか?」
「は!?あおっ…」
「もう一回します?♪」
「しねぇよ!!!」
フハッと笑う真木の鳩尾に拳をいれる。
「痛っ!?」
「早く服を着ろ服を!!!」
こうしてあたしと真木の一泊二日の卒業旅行は、幕を閉じた―――