生意気なKiss
「っていうか」
ふっと出来た影に振り向くと、卒業式に似合わない険しい顔した沙良がいた。
「さ…沙良?どうした?」
「この中で彼氏いないのあたしだけじゃん!!」
あー…そういえば。
「爽月にすらいるのにっ!!」
おい、“すら”ってなんだ“すら”って。
「こうなったらこれから合コンしまくってやる~っ!!!」
地元の短大に合格した沙良は、瞳に炎を燃やしながらそう宣言した。
「…べ…別にそんなに焦らなくてもいいと思うぞ?」
「爽月っ!あたし頑張るから!!」
人の話を全く聞いていない沙良。
沙良はモテるのに、いつも「なんか違う!」と言って告白されても断ってしまう。
でもいつかは、「この人だっ!」って思う人にきっと、いや絶対巡り合えるはず。
「あっ…爽月ちゃん!来たよ♪」
愛海の声に振り向くと
「…センパイ。
卒業おめでとうございます♪」
いつものようにフワリと微笑む真木が立っていた。