生意気なKiss
「…あー…なんか死ぬかと思った」
「は?」
「センパイ何回電話しても出てくれないし、やっとかかってきたと思ったら合コン行くとか言われて…気付いたら新幹線乗ってました」
…こんなに焦ったのは始めてだった。
センパイが他の男のところに行ってしまうかもと考えただけで
頭が真っ白になった。
「それでどうでした?イケメン揃いのサッカー部は?」
強く抱きしめていた腕の力を少し緩めて、センパイの顔を覗き込む。
「あー…」
バツの悪そうに視線を逸らしたセンパイは
「…なんかイマイチだった」
モゴモゴとそう言った。
「はっ、そーですか。それは残念でしたね♪」
「なんか嬉しそうだな」
なんて複雑そうな顔でセンパイがそう言うけど
当たり前でしょ。
俺よりいい男がいつセンパイの前に現れるかって
毎日、ハラハラしてるんだから。
センパイを抱きしめてチュッと耳にキスを落とすと
「!!!
なっ何!?」
バッと耳をおさえてセンパイが飛び退く。
ほんのり赤く染まった顔が、なんだかどうしようもなく愛しくて
もっともっと、俺のせいで赤くなってるセンパイが見たくて
その甘い唇に誘われるように、キスをする。
これからまた、すれ違うことも、何が本当か分からなくなる時もあるかもしれない
だけど
その度に俺は何度だって、何度だって君にこの言葉を言うだろう。
「愛してます、センパイ♪」
そして何度だって、君とキスをしたいと思う―――
好きだよ、よりも
愛してる、のキスを。
翼side♡fin