恋のリハビリをあなたと
「その研修で毎回実演してるのが俺たち。なんなら、内容を考えてるのも大抵俺ら」


自分と残り2人を、指差しながら、大地さんが淡々と説明してくれた。


あーあ、やってしまった。


私の悪い癖だ。ああいう時、人の顔を全く見ていないんだよね、私って。


だって、内容には興味あるけど、誰が講義してるかとか、全く興味ないから。



「……ごめんなさい、でも、講習は毎回興味深く聞いてますよ」


言い訳なんて思い浮かばなかったから、素直に謝った。


「いいじゃないですか、本来の仕事は褒められているんですから」


完全にさっきまでの真面目な姿に戻りきれていない師長が、彼らを慰め(?)ていた。

すごく、すごく楽しそうに。


昨日、大地さんが教えてくれていたら、こんな失敗しなかったのに。


いや、私が、覚えていなかったのがいけないのか。


大地さんは昨日、私が自分を覚えていないことを、なんと思ったんだろう。


自分の言葉を、少し後悔したまま、リハビリ室を後にした。


< 48 / 141 >

この作品をシェア

pagetop