恋のリハビリをあなたと
「リハの池田さんかっこいいよね」


「この前3病棟の看護婦さんが告白したらしいけど、好きな人がいるって断られたらしいよ」


「好きな人って誰なんだろうね。全然浮いた噂聞かないし、病院の人じゃないんじゃない?」


「そうかもしれないけど、私も狙ってるのになー」


……いやな話が聞こえてきた。


今日は大地さんは休みだったから、おいしいお弁当はなし。


だから、珍しく食堂に来てみたら、これだ。



たまたま私の隣に来た集団が、たまたま大地さんの噂をしていた。

たまたま、私の方をチラチラと見ながら。



って、たまたまな訳ないじゃん。こいつら絶対わざとでしょ?


成功だよ、成功。

十分あんたらの言葉で、私の心は乱されたよ。


大地さんの噂を聞かされて、なんだか無性にイライラして、この気持ちが嫉妬だってことは、もう気がついてる。


目を逸らしたいけど、認めるしかないくらいの感情。


あーあ、認めるしかないよね。


私、大地さんのことが好き。


心の中で素直に反復してみると、驚くほどストンと心に落ちてくるような、そんな感じがした。
< 88 / 141 >

この作品をシェア

pagetop