恋のリハビリをあなたと
「……」


無言でドアを開け、恐る恐る外を見ると、少し不機嫌な大地さんがいた。


私が言葉を発さないでいると、彼も何も言わない。


そんな状態が続いた。実際には少しの時間だっただろうけど、私にはものすごく長く感じた。



「…あっ……」


彼は無言のまま、少しだけしか開いていなかったドアを、大きく開けると、

私を少し押し退けるようにして、部屋の中に入っていってしまった。


今の私は文句も言うことも出来ず、ただただ、彼の背中を見つめていた。


こんな状況なのに、久しぶりに近くでみる彼の姿に、見とれてしまっていたなんて、彼には決して言えない。


黙ったまま、私の方を一切見ることなく、ソファーに腰を下ろした彼。


さて、私はどうすればいいの?とういか、何で、彼はここまで不機嫌なんだろう。


考えても分かるはずはなく、悩むのも嫌になって、とりあえず、お茶を入れることにした。

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