目を覚ましたとき
そんな麻衣の不安を掻き立てるような
出来事が起こったのは深夜だった
麻衣はふと深夜に目を覚ました
リビングの電気がついてることに
気づき、明かりの方向に耳をすました
「 俺もう耐えられねえ。 」
直二のあの低い声だった
「 それだけは辞めて… 」
続けて怯えた母の声が聞こえた
「 嫉妬で狂いそうなんだ。
雄二や麻衣を見てると。
殺したくて殺したくてたまらない。 」
「 そんな… 」
「 何であの時母さんは俺を捨てた?
何で雄二だけ引き取ったんだよ?!
ふざけんじゃねえよ…!!!! 」
ガッシャーン!!
ガラスが割れる音がした
「 …本当は直二も引き取るつもりだった。私の手で二人を育てるつもりだったのよ。なのに…なのにあの人が… 」
麻衣は耳を疑った
ママが兄ちゃんだけ引き取って
直二兄ちゃんを捨てたの…?
出来るだけ息を潜めて
時間がすぎるのを待った
重く低い声がまた聞こえた
「 俺…もう帰るわ。 」
「 覚えておけよ?いつか殺りにくるから。」
ガタッガタッ
そのまま直二は家を飛び出した
ブオーン
直二の単車の音が
静かな田舎の街に響き渡った