ルームシェア ─個性豊かな男達に求められて─
「……ぅん、ありがとう……」

私は、気力の無いお礼を言う。玲好君は、まだ、おどおどしていた。

「本当にごめんね?」

「…ぃや、…もう大丈夫だよ…」

「もっ……、もう機嫌直った……?」

「…うん、直った直った」

「……良かった、良かった……。って、自分のせいで優花さんが機嫌悪くなったんだけど……」

アハハっと、玲好君が苦笑いをした。私も、つられて苦笑いをする。

「……さっきの話に戻って良い?」

「………うん?」

「……優花さんは、黛城さん好き?」

「うん。料理上手だし!優しいし!笑顔が格好いいし!」

「……それは、恋愛として?」

「………ん?ううん、違うよ」

「そっか…なら良かった…」

玲好君が、ホッと安心していた。玲好君は、優しく微笑みながら、机を触っていた。

「良かった…?何で?」

「いや、何でも無いよ…。ぇっと、……じゃあ……。俺の事好き?」

最後の方が、少し声が小さくて。少し聞き取れなかったけれど、なんとなく質問の内容が分かったので答える。

「うん。好き、好き。玲好君と、一緒にゲームしたら楽しいし、一緒に居て楽しいから」

「ぇへへ……。そっか、好きか…」

玲好君は、一回顔を両手で隠してから、両手を離して私に笑いかけてきた。

「うん。好き、好っ…。あぁああ!!!」

私は、時計を見て叫ぶ。明るかったから、気付かなかったけど、もう7時半を超えていた。

「えっ?えっ?何…?」

「じっ、時間!もう7時半超えてる!!」

私は、鞄に筆箱を詰めながら玲好君に言う。

「うっ、うわゎぁあ!本当だ!ヤバい!どうしよ!門限、8時じゃん!!」

玲好君は、急ぎ過ぎて筆箱に手をぶつけて。筆箱の中身をぶちまけてしまった。

「ちょっ、玲好君?!」

大丈夫?と、言いながら筆箱の中身を拾う。玲好君も、しゃがんで中身を一緒に拾った。

「あぁあ、もうどうしっ…。ごっ、ごめん!」

筆箱の中身を拾ってる途中で。玲好君と、私の手が重なった。

「大丈夫、大丈夫!早く、拾っちゃお!」

「……うっ、うん……」

私と玲好君は、急いで筆箱の中身を拾った。

「また叶に怒られるね……」

「うん…。鬼みたいな顔だよね。絶対に…」

階段を駆け下りて、下駄箱で靴を履き替える。

「だよね…。何で、門限も守れないの?ってさ…」

「本当に高校生?とか、さ」

「何か、帰りたくないな…」

「……だよね……」

「はぁ、……。でも、秘密の居残りも楽しかったね……」

「秘密の居残り…」

何か、不思議な感じ…。

「楽しかったね、優花さん」

玲好君が、私の顔を覗き込んで微笑んだ。

「ふふっ……。だね……」

私達は、沢山お話しながらルームシェアに帰った。

勿論、門限の時間は過ぎて一時間。叶君に、2人揃って説教されてました。
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