ルームシェア ─個性豊かな男達に求められて─
「アンタ、何してんの?…不審者?」

後ろから急に、声を掛けられる。

「ふっぎゃーーー!!!スイマセン!!」

私は、声を掛けてきた男の子に何故か謝る。

「……待ってて。今、警察呼ぶから……」

茶色のフワフワな髪の毛に、チョコレート色の瞳。女の子みたいな、唇に長い睫毛。小さい顔に、色白な肌。身長は、普通よりちょっと高い位。170越えてる……?

「えっ、ちょっ、ヤメて下さいよ……。私、これから、住む家の前でウロウロしてただけですので……」

「………はっ?」

男の子は、目を見開く。

「……へっ?何ですか?」

「じゃあ、アンタが今日から一緒に住むルームシェアの人?……男じゃなかったの?」

「えっ?…るっ…ルームシェア?私、1人暮らし…」

「それ、…地図?…ちょっと見せてよ」

「あっ、はい、どうぞ……」

男の子は、地図をジッーと見てから、私に地図の紙を戻す。

「間違いなく、アンタが住む所はこの家。新しく入る…ルームシェアの人…」

「えっ、でも、1人暮らし…」

「だから、アンタは何かの手違いで、ルームシェアで住む事になったんじゃないの?」

「えぇえ………」

「はぁ、早く入れば?…管理人と一回話なよ…」

「はっ、はい……」

男の子は、家のドアを開けて入って行った。私は、男の子について行って一緒に家の中に入る。

「ねぇー。黛城さん、今日から、一緒に住む人って、男じゃなかったのー?」

男の子は、リビングらしき所に私を連れて行き、キッチンの方に叫んで、管理人さんを呼び出す。

「えぇ?…男の子だっ………。誰?その女の子…。叶の彼女……?!」

キッチンの方から、優しそうな男の人がやってきた。

サラサラな金髪に、吸い込まれそうな位に綺麗な、水色の瞳。身長は、高くて180越えそうな位かな…。男らしい目つきで、ツンッとしてる。まぁ、正に…世に言う、イケメン…。

「な訳無いじゃん。…この女の子、今日ココに住むって言ってるの。…何故か、1人暮らしするって…」

「えっ、ちょっ、ちょっ。えっ?…1人暮らし?…ココ、ルームシェアだよね?」

「いや、管理人の黛城さんが一番分かってるじゃん」

「そっ、そうだけど……」

「はぁ……。アンタ、名前は?」

「……心乃…優花です」

男の子に、名前を聞かれる。私は、言わないと、ダメだよなっと思い、名前を言った。

「えっ?心乃さん?」

管理人さんが、聞き返してくる。

「はい……」

「ぁぁあ……。確かに、ココで住む子だ……。契約してくれた、男の人の苗字、心乃さんだったもん……」

「はっ?……黛城さん、男の子って言ってたじゃん」

「いや、心乃さんが、男の子って言ったような…言ってないような…」

「どっちですか……」

「まぁ、細かいことは良いよ。…手違いなら、仕方ないよね…。うん!」

「「…………」」

「じゃあ、優花ちゃん。…ルームシェアでも、良いかな?」

「…………」

………でも、ココで断っても私が住める所は、ココしかない………。って、事は、私は嫌でも、住まないといけない……。

「ぇっと、はい……」

「じゃあ、優花ちゃんの部屋は、コッチだよ」

「あっ、はい」

管理人さんの後について行く。私の部屋は、リビングから一番遠い所だった。
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