ルームシェア ─個性豊かな男達に求められて─

デート…お出掛け…嫉妬?

体育祭が終わって、後は夏休みを待つだけのある金曜日の夜。

コンコンッと、私の部屋のドアが鳴ったから開けると。

「優花さん、ぁの……」

玲好君が、顔を赤くしながら私の部屋の前に立っていた。

「ん?何?あっ、はいって、はいって!」

私は、玲好君を部屋にいれた。

「あっ、ありがとう……」

「いーえ。で?どうしたの?急に……」

「ぇっと……、その……」

玲好君が、私の前で正座をしてチラチラ左右見た。

「…………?」

「ぇっと…その映画…。明日、どうですか?!」

急に大声で疑問系に聞いてきた玲好君に、少しビックリしながら。

「明日?……全然いいよ?」

「ほっ、本当に?本当に?本当に良いの?!俺なんかと?!映画だよ?!」

「えっ?うん……。えっ?映画行くの嫌なの?」

「いや!そんな事ないです!むしろ、優花さんと映画観に行けるなんて!スーパーウルトラデリシャススペシャル嬉しいです!!!」

凄い顔を真っ赤にして叫ぶ玲好君。私は、目を見開きながら、お礼を言う。

「あっ、ありがとう。じゃあ、明日?」

「はい!明日の朝10時に、ルームシェアから出たらちょっと時間を余して映画館に着きます!!」

「分かった。……じゃあ、朝ご飯は愛希さんに頼んで早く作ってもらう?」

「えっ?じゃあ、今頼みに行った方が……」

玲好君が、オドオドしながら指をクルクル回してた。

「うん。そうだね。行こっか2人で」

「はっ、はい!」

私達は、私の部屋から出る。と、同時に叶君と愁太さんが自分達の部屋から出て来た。

「あっ、優花……、と玲好……。2人で、何してたの?」

叶君の怖い視線が、玲好君に降りかかる。

「へぃ?!……っと……その……」

玲好君が、叶君の視線から逃れるために下を見た。

「言えないような事シてたの?エロい事?シてたの?!優花の部屋で!?」

「しっ、シてないよ!!叶って何で、いつも、そんな勘違いを……!!」

「玲好ならヤりかねないからね……」

叶君が、腕を組んで玲好君と私を交互に見た。玲好君は、何故か顔を赤くして愛希さんの部屋にノックもしないで、はいっていた。

「ちょっ、玲好君?!」

私は、慌てて愛希さんの部屋にはいった。でも、そこには……。

「えっ?ちょっと、玲好?!」

愛希さんが、ビックリした表情で玲好君の事を見てた。まぁ、そりゃあビックリするよね…。

顔を赤くして愛希さんに、抱きついている玲好君。

「黛城さーん、叶が俺の事イジメる……」

叶君と愁太さんは、愛希さんの部屋の中を覗いた。

「ぶはっ!!愛希、玲好に抱きつかれてるし!!アハハハハ!!」

「玲好君、一回離れた方が……」

「ぅぅ……でも……」

「ほら、明日の事言わないと!」

私が、玲好君の背中を撫でて落ち着かせた。そしたら、玲好君は急に愛希さんから離れて…。

「明日!俺と優花さんの朝ご飯さんを、早く作って下さい!!」

朝ご飯…さん?なんで、さん?

「えっ?なんで?」

「ぇっと…映画館……2人で…。ぃ…く…ん…です……」

「……………。あぁ、デートね」

愛希さんが、サラリと分かったように呟いた。

「……………?!で、デートって!!!たっ、黛城さん?!そっ……そんな、俺なんかが優花さんと…で、デートだなんて?!」

玲好君が、パニックになってる…。頭をバンバン叩いて、ぇっと…と叫んでる。

「そっか、そっか。デートか。やっと、玲好に、この時がね…。で?何時までに、作れば良いのかな?お二人さん?」

「ぃや、平日と一緒で……。7時でお願いしま…す…………。はい、スイマセン……」

少し顔を青くして、玲好君が頼んでいた。

「了解。7時ね」

平日はいつも、7時。土日はいつも、8時に朝ご飯を作っている。

「そっかー!!そうですか!!!デートですか!!!良かったですね!!どうぞ、存分に楽しんできて下さいね!!!!優花のバーカバーカ!!!!」

叶君が、急に怒鳴ったかと思ったら愛希さんの部屋から荒々しく出て行った。

「………バカって。叶君、急にバカって言わなくても…。確かに私は、バカだけど……」

「こういう事に、なるから叶には、バレないようにと思ったのに……」

俺のバカ…と、玲好君が落ち込んでいた。

「まぁ、ほっとけって。叶の事は、気にしないで、明日は楽しんできな?お二人さーん。付き合うことになったら、教えてねー」

愁太さんは、ニヤニヤニタニタしながら愛希さんの部屋から出て行った。

「つっ、付き合っ…?!」

さっきから、顔の赤さがとれてない玲好君。愛希さんも、少しだけニヤニヤしてた。

「じゃあ、明日7時ね。……夜遅くまで、遊んだらダメだよ……。一時間くらいなら、許すよ。門限」

その一言で、玲好君の顔が少し緩んだ。

「ありがとう!黛城さん!!おやすみなさい!」

「おっ、おやすみなさい!」

「うん、おやすみ」

パタンと、ドアを閉めて玲好君が一言。

「ぇっと……、明日よろしくお願いします!!映画終わったら、買い物とか、ゲームとか……」

「うん!分かった。……じゃあ、おやすみなさい。玲好君」

ニッコリ微笑んで、玲好君に手を振って部屋にはいった。一瞬見えた玲好君の顔は、リンゴみたいに顔が赤かった。

「映画か…。楽しみだな…」

バフッと、ベットに倒れ込み、急激に強い睡魔に襲われて私は、ゆっくり目を閉じた。
< 36 / 50 >

この作品をシェア

pagetop