ルームシェア ─個性豊かな男達に求められて─
「きゃふ………」

ボフッと、叶君の体に倒れ込んだ。

「話ちゃんと聞いてよ……、バーカ……」

「はな…し?」

「あのね?本当に、分かって無いんでしょ?僕が、機嫌悪い理由」

背中をポンポン優しく叩きながら、話を続ける叶君。声も、いつもより優しかった。

「えっ?やっぱり機嫌悪かったの?」

「まぁ、ちょっとだけ……。まぁ、良いから聞いて……」

離れようとした私の、後頭部を叶君が手でおさえたので離れられなかった。

「うっ、うん………」

「分かって無いなら、それで良い。僕が、まだまだ努力が少ないって事だから。気にしないで。優花は、何も悪くない……」

「……本当?私の嫌な所は?直すから…」

「勉強教えてる途中で、寝ないで」

叶君は、いつも通りの声に戻って私の嫌な所を言った。

「あっ、はい…。すいません…。以後気をつけます」

私は、叶君に謝る。叶君は、ふふっと、笑って私の背中を優しく撫でた。

「以後が、あればの話だけどね」

「えっ?もう教えてくれないの?!」

「冗談だって……」

「よっ、良かった……」

叶君は、私より年下なのに私より二年生の勉強が出来ていた。

「優花は、もっと覚えようとする努力してよ。……優花が、寝た後、僕そこから動けないんだから」

「ごっ、ごめんなさい……」

私が、謝ると叶君は、私の事を離した。叶君は、凄い優しい顔をしていた。

「ごめんなさいって言うなら、早く努力してね…。バカ優花」

叶君は、しゃがんで私と殆ど同じ視線にして。私の涙を優しく拭いてくれた。

「……ぅっ……、そんなはっきり言わなくても……」

「だって、本当の事じゃん」

「そうだけど……」

「自分で、分かってるじゃん。……ほら、早くしないと玲好とのデート行けないよ」

叶君は私の背中を、押しながらリビングまで行った。

「あっ、優花さん……」

玲好君が、私と叶君に近寄る。私は、何もなかった事を教えるように、ニコッと笑った。

「……………」

玲愛君は、無言で私と叶君の事を見てから優しく微笑んだ。

「おっ?嫉妬深リーダーの叶だ」

愁太さんが、叶君をからかった。

「お前は、死ね」

いつも通り返す叶君。

「もう仲直りしたんだから。叶と愁太は、ケンカしないの。ほら、優花ちゃん、おいで。髪の毛結ってあげる。あっ、皆は見たらダメだよ。お楽しみ」

愛希さんは、私の背中を優しく押してリビングから出る。そして、愛希さんの部屋の中にはいった。

「じゃあ、優花ちゃん。そこに座ってね」

「はい」

私は、愛希さんが指差した椅子の上に座った。
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