ルームシェア ─個性豊かな男達に求められて─
少し道が悪いところを歩き、静かな空間に私達の歩く音だけが響いた。

「………す、凄い暗いね……」

私は、平然を装って苦笑いする。

「もしかして、怖い?」

玲好君は、からかうように私に聞いてきた。

「こ、怖くないよー……。ひ、1人でも歩…」

「じゃあ、俺、走るね。怖くないなら、ゆっくり歩いてきてよ」

玲好君は、私に向かって意地悪な笑顔で笑って、走ろうとした。

「ご、ごごごごごごめんなさい!嘘です!お願いですから、置いてかないで………」

私は、震えてる手で玲好君の服の端を強く引っ張った。

「ハハッ……、優花さん、怖いんじゃん」

「…………良いじゃん、別に……」

「優花さんって、実は強がりだったんだね」

「そうですけど………」

プンッと、子供扱いされたみたいで、私は拗ねる。

「………優花さん」

「……………なに?」

「あの…、……出来れば。手………」

玲好君は、私に手を差し出す。私は、首を傾げてから、ニヤッと笑って…。

「え?玲好君も、もしかして怖いの?」

「違うよ……」

玲好君は、苦笑いした。私は、さっきより首を傾げる。

「………ん?じゃあ、怖い通り越して恐怖を感じてきたの?」

「違う、違う………」

玲好君は、下を指さした。私は、玲好君の指さした下を見た。

暗くて足元はよく見えない……?……それ以外は、そんなに手繋ぐようなことは……?

「…………………?」

「足元が暗くて足元が見れないから…さ。だから、危険だし……。…俺が…優花さんにケガを負わせたら、叶に殺されるし……。だから、……手………」

玲好君が、暗闇の中で笑った。私は、そういうことか、と思い玲好君と手を繋いだ。

「叶君に殺されるの?」

何故か、…叶君は玲好君に厳しいからね……。

「うん…、絶対……」

「そっか……、大変だね……」

「でも、優花さんと手繋いだー、って言っても殺されるケドね………。ていうか、優花さんガラミだと、すぐ叶は機嫌悪くなるし………」

チラッと隣を見ると玲好君は、また苦笑いしていた。

「………え?!それ、私のせいだよね!?」

「いやいやいや、まぁ、ちょっとそうだけど。多くは違うよ」

…………………?玲好君、最近言葉が変……。

「叶は、優花さん以外の女の子信じないし」

「えぇ?!なんで?!」

私は、一瞬歩みを止めた。

「叶、女の子嫌いだから。…理由はね、外見で判断する女の子ばかりだからってさ」

「へぇー………」

それくらい、叶君がモテるってことだよね……。その理由は…さ……。

「だから、優花さんしか信じないんだと思うよ?優花さんって、結構学校で有名だし……」

「えぇ?!」

……そ、そんな有名になる程……やんちゃは…してないような…。………あ、でも前、廊下走っちゃった……。

「挨拶したら、すぐ返ってくるーとか。小さなことでも手伝ったら、お礼は絶対するーとか。…困ってたら、助けてくれるーとか…」

「…そ、そんなことで?!」

「いや、そんなことじゃないよ?…優花さんみたいに、優しくて頑張り過ぎてよくドジるとか、結構天然でホワワッみたいな…人はあまりいないよ?」

「それさ、貶してるの?!」

「け、貶してないよ?!絶対に貶してないからね?!」

「な、なら良いんだけど………」

私が、玲好君の言葉を頭の中でグルグル考えていると。…急に、玲好君が止まった。

私は、玲好君の腕に顔をぶつける。

「ぶんっ………、きゅ、急に止まらないでよー…………」

「あ、ご、ごめんね?…あの、着いたんだけど……。目瞑って?本当に綺麗だからさ、夜景がちゃんと見れる所に、俺が優花さんを引っ張っていく!」


「え?……あ!そっか!お楽しみに、か!うん!今、目閉じるね!!」

私は、ギュッと目を瞑った。玲好君は、私が目を瞑ったことを確認すると、ゆっくり私をどこかに連れて行ってくれた。
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