悪魔と天使
ノードリーム
地球にまだ不可思議なモノがいた時代
「……ふぇ…ん…ウワァァァン」
「あーあー泣くんじゃねぇよ……かっけぇ顔が台なしじゃねぇか」
まだ…悪魔や天使がいた時代
「だってぇ…ぼく、こんなに辛いの嫌だよぅ…痛いよぅ…」
「いいか、坊主。世の中、そんな………まぁまだ坊主だから仕方ねぇか」
夕暮れ時に一人の男が一人の少年の前にしゃがみ込み、話していた。
「セレナちゃんに泣かされないようにしてやるって言ったじゃないかぁ……」
「坊主、俺は嬢ちゃんに泣かされないように強くしてやるって言ったがな。簡単じゃねぇんだぜ?」
「でもぉ、腕立て伏せ10回はきついよぉ…こんなんで強くなれるの?」
ああ、もちろん。と自信満ちた拳で胸を叩く男。
「一つだけ忘れんな。強くなったって嬢ちゃん泣かせちゃ駄目だぜ?」
少年はえー、と嫌な顔をする。
「それじゃ意味ないじゃないかぁ〜」
「まぁ…わかる時が来るまで頑張れや」
「あー!あそこ!お姉さん!あそこ!」
突然二人の後ろから少女の声が聞こえて来た。
「あ!セレナちゃん」
少年は少女に手を振る。
「マルク!逃げて!その人悪魔!」
え?と少年は男を見る。少年から見るには悪魔ではない。
男は軽く舌打ちすると、
「じゃあな、坊主。俺が与えたそのメニュー、楽になったら回数は+5にしろよー」
と、逃げていった。
「マルク!怪我はなかった?」
「待て!悪魔!」
少女が連れて来た女はすぐに男を追い掛けていく。
少年は少女にぎゅっ、と抱かれる。
「怖くなかった?ボロボロになって、悪魔に虐められたの?」
少女は少年をかなり心配していた。今にも泣き崩れそうだ。
今まで自分を虐めていた子が自分を心配していた。
「セレナちゃん、泣かないで」
自分は筋トレしていただけなんだから。
少年の口からはその言葉は出なかった。
代わりに彼の心には彼女を護りたいという気持ちが生まれた。
…強くなろう。
彼はそう、思った。
「……ふぇ…ん…ウワァァァン」
「あーあー泣くんじゃねぇよ……かっけぇ顔が台なしじゃねぇか」
まだ…悪魔や天使がいた時代
「だってぇ…ぼく、こんなに辛いの嫌だよぅ…痛いよぅ…」
「いいか、坊主。世の中、そんな………まぁまだ坊主だから仕方ねぇか」
夕暮れ時に一人の男が一人の少年の前にしゃがみ込み、話していた。
「セレナちゃんに泣かされないようにしてやるって言ったじゃないかぁ……」
「坊主、俺は嬢ちゃんに泣かされないように強くしてやるって言ったがな。簡単じゃねぇんだぜ?」
「でもぉ、腕立て伏せ10回はきついよぉ…こんなんで強くなれるの?」
ああ、もちろん。と自信満ちた拳で胸を叩く男。
「一つだけ忘れんな。強くなったって嬢ちゃん泣かせちゃ駄目だぜ?」
少年はえー、と嫌な顔をする。
「それじゃ意味ないじゃないかぁ〜」
「まぁ…わかる時が来るまで頑張れや」
「あー!あそこ!お姉さん!あそこ!」
突然二人の後ろから少女の声が聞こえて来た。
「あ!セレナちゃん」
少年は少女に手を振る。
「マルク!逃げて!その人悪魔!」
え?と少年は男を見る。少年から見るには悪魔ではない。
男は軽く舌打ちすると、
「じゃあな、坊主。俺が与えたそのメニュー、楽になったら回数は+5にしろよー」
と、逃げていった。
「マルク!怪我はなかった?」
「待て!悪魔!」
少女が連れて来た女はすぐに男を追い掛けていく。
少年は少女にぎゅっ、と抱かれる。
「怖くなかった?ボロボロになって、悪魔に虐められたの?」
少女は少年をかなり心配していた。今にも泣き崩れそうだ。
今まで自分を虐めていた子が自分を心配していた。
「セレナちゃん、泣かないで」
自分は筋トレしていただけなんだから。
少年の口からはその言葉は出なかった。
代わりに彼の心には彼女を護りたいという気持ちが生まれた。
…強くなろう。
彼はそう、思った。