悪魔と天使
「ちっくしょう……」


「いい加減諦めたらどうだ?」


ゼウスは動いていない。息切れもしていない。


「るせぇ!引かぬ退かぬ省みぬ!強情にそして貪欲に!これが俺の信念だ!!お前も知っているだろ!」


マルコは両腕をだらんとさせている。もう、動かすことは無理に等しい。


ゼウスはたしかに、と頷いた。


「やはり、私の教えは気に入らないか」


「ああ、気に入らないね」


「あれを取り除けば悲しむことは無い。幸せなのだ。なぜわからない?」


「悲しむこともなけりゃ楽しむことも出来ねぇよ」


「楽しむことは出来る。笑える」


「あれが?可笑しくて掌でレモンティーが沸かせるぜ」


そのまま、高笑いする。


そこに、ガブリィがやってきた。


「神よ!ご無事ですか?」


「来るな!ガブリエル!」


ゼウスの言葉を聞くとガブリィは眼が空ろになり、神の間入り口前で止まる。


「……」


マルコは苦虫を潰すような顔でガブリィを見るとすぐさまゼウスのほうを向く。


「……賭けをしようか」


ゼウスは無表情でどのような物だ?と問う。


「簡単だ。俺が全ての力を使って攻撃をお前にぶちかます。それで、一発もお前に当たらなかったら俺はおとなしく降参しよう」


「お前が勝ったらどうなるのだ?」


「逃げさせてもらう」


マルコは息を整えると構えた。


「ただ、それだけだ」
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