悪魔と天使
「待ちなさい!」


「ハーハッハ!待てと言われて待つ奴なんざ馬鹿でもいねぇよ!」


先程の男と女は物凄い速さで街を抜けていく。


「俺の速さについてこれるたぁなかなか鍛えてんじゃねぇか!どんなトレーニングしたんだ?」


笑って走る男。


女は息を切らさずに走る。


男は悪魔、女は天使。


「神の力です」


天使は淡々と喋る。


それを聞いた悪魔は表情を曇らせた。


「やっぱり、出て行った方が良かったんだな……」


ズサー!っと音を立てて止まる悪魔。


天使は音も立てずに止まる。


「女は傷付けたかねぇがよ」


悪魔は構える。


武器など弱さの現れだ。


それが悪魔の信念だった。


我が身一つで戦う闘士。


「その曲がりに曲がったその心、出来るだけ直させてやる!」

        モンク
悪魔というよりも修行僧に近い男、それがマルコシアス・クァード・ギリアスという悪魔だった。


「傲慢な神の犬なんかに負ける俺ではねぇぜ!」


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