悪魔と天使
今から一時間前――


神の間。


マルコによる損壊はほぼ修復を終え、ゼウスは軽くため息をついた。


「奴め、壊し過ぎだ」


ゼウスはあるものを神の座の脇からから引っ張りだそうとした。


大事なモノは身近に置いていた。


だが、あるものはなかった。


かわりに小さな紙を掴んだ。


『そういうとこだけは昔と変わらんのな。お前の大嫌いなマルコより』


ゼウスは慄いた。


「本当に嫌いだよ!!マル!!誰かいないか!」


「はい、何でしょう?」


そこにいたのはマルコと親しげに話していたのをチクられ神の間清掃を一人で任されたマリクだった。


「牢屋に行け!!」


「は、はい!」


騒がしい音を奏でながらマリクは走って行った。


―10分後―


「悪魔が脱走しました!マリクも一緒です!!ガブリエル様も一緒です!!」


「……な、んだと……!」


あれを持ち出した。


知っている。


ガブリィまでも揃っている。


あいつには好条件が揃っている…………!


「ほんっとに大嫌いだ!!あの悪魔!!最強部隊を差し向けろ!!三人とも殺せ!!」


報告した天使は戸惑う。


「ガブリエル様もですか?」


「あぁ、マーリクと言う者も、ガブリィも、裏切り者だ。殺しても構わん!!」


ゼウスの声が神の間をこだまする。
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