悪魔と天使
「………神への侮辱、許しません」


天使は腰に差している刺突型の剣を抜く。


神から貰う悪魔払いの剣、ホワイトドリーマーズ。


絶対的な忠誠を誓った者に与えられる破邪の剣。


彼女―ガブリエルことガブリィ・E・ハーマートは下界に下りてからは二回しか使っていない。


悪魔は瞬殺だった。


今回も瞬殺だろう。


彼女はそう思っていた。


「貴方の罪、貫きます」


「ホワイトドリーマーズ、正しき夢追い人と称されている刺突型の剣。夢追い人か………夢叶って…次、貴様は何を請う?」


「…………何も請わない………神の命が全て!」


ガブリィはマルコに襲い掛かった。


「………ホワイトドリーマーズは夢を失いし者には力を貸さず」


高速の突きを高速で避けるマルコ。


「ほざけ!ホワイトドリーマーズの切れ味、思い知れ!」


突きのスピードが増す。が、軽々と避けられる。


「これが?」


不意に剣が止まる。


マルコの腕に刺さった剣。


深く突いたはずなのに、腕には剣の先しか刺さっていない。


「ホワイトドリーマーズの本当の力は俺の腕など簡単に貫く」


マルコは先しか刺さっていない剣を拳で叩き割った。


いとも簡単に剣が砕けた。


「なっ…………」


ガブリィが驚愕している隙にマルコはガブリィのみぞうちに一発喰らわせた。


「かはっ!」


ガブリィは力無く崩れ落ちた。
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