悪魔と天使
「………って、また言い争っているし……」


マルコが干し草を腕一杯に抱え歩きながらガブリィを見る。


ガブリィはまたもや村人と言い争っていた。


正確に言うと一方的だが。


「兄貴?何やってんの?」


後ろからマリクが干し草を覗き込みながら質問する。


「あいつは何やってんだ?」


「姐さんは調理場を貸して欲しいと頼んでんのさ」


「んなもん焚火で焼きゃいいものを………」


マルコはそう呟いて早々と干し草を空き家に運び、ガブリィの襟首を掴んではズルズルとひっぱっていった。


村人は汚物を見るような目で彼等を見ていた事はまだ、マルコしか知らない。
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