悪魔と天使
「ほうら、どうだ。ベットだ」


ガブリィは目を輝かせ、マリクはすでにベットに大の字で寝転がっていた。


「どうしたのだ!これは」


マルコは威張る。


「干し草だ。天然のベットだぞ」


そしてこれみよがしに干し草のベットをふかふか叩く。


「いいのか、寝ても?」


頷くマルコ。


「お前のベットは?どこにあるのだ」


空き家の中にはベットは二つしかなかった。


「俺は長年放浪生活が長かったからな、星空を見なきゃ眠れない。運がいいことに屋根も干し草みたいなモノだからふかふかだ」


マルコは星空を思い出したのか、遠くを見つめるように天井を見る。


「今夜も綺麗だと良いな、星空」


「?!」


ガブリィはそこに誰かの面影が見えた。


誰なのか?それはまだ、ガブリィはわからない。


ゼウス?いや、そんな事ない。


考えれば考える度、頭が痛くなる。


彼女はベットの上に倒れた。


すでにマルコは家の中にはいない。


彼女はふと月明かりが差し込んだのを感じた。


痛む頭を押さえ、ベットから窓の外を見る。


月は何も知らないようで、いつもの如く、うすぐらい仄な光を世界を包み込むように発していた。


「今宵も…………月は綺麗……か」


痛みが引いたように彼女は眠りに就いた。
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