悪魔と天使
「何故ノードリームなんだ?」


ガブリィが聞いた。


「夢が亡いからな。だが、少しでも心が揺らいだときそのブレード部分は崩れ落ち、柄部分は砂と化す。元々、ホワイトドリーマーズに掛けられていた魔法を俺なりに変えた」


「それが出来るのは神だけの………」


「…それは内緒だな」


マルコは呟いた。一瞬だけ、暗い顔したマルコだったがすぐにガハハと笑う。


「一つ、聞きたい。あんたの心は何色だ」


マルコが問い質す。


それにガブリィは即答する。


「決まっている。白だ」


マルコは嘲笑う。


「白だぁ?白なのは赤ん坊だけだよ」


「ならば、お前は何色だ?」


「俺か?俺の色は紅色よ」


マルコも即答する。


「俺はその色を変えないように必死に抗ってんのさ。そうすりゃ、死ぬ時にゃ真っ赤な華を咲かせるだろうからなぁ」


ガブリィは首を傾げる。


「自殺志願者か?」


その割には死にたがる様子が無いとガブリィは思う。


マルコはそうかもしれねぇと笑う。


「あ、そうだ。あんたの神様に一つ言伝を頼むわ」


「私が悪魔の言う事など聞くと思うか?」


あー、なら……とマルコは言う。


「バルバトスっていう奴にいってくれ。あんたの神に聞きゃわかる。『曲がってしまったお前を正す。いつか必ず。クリムゾンハートを侮るなよ?P・S心を奪ったところで何も、誰も思い通りにならないぞ』と、頼んだぜ、ガブリィ。あ、名前を聞かれたらマルとでも言っといてくれ」


じゃな、とマルコは闇に消えて行った。


燻る焚火の中、ガブリィはふと、思う。


「名前を教えた覚えは無いが……………」

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