水面(みなも)の月

路面の水溜まりに、空高く昇った月が映っている。


僕達を見ているのは空と地上の2つの月だけ。




ほんの小さな水面に揺れる月は、妖しく輝いていたあの時とは違って、弱々しく微かに光りながら、哀しげに浮かんでいるだけだった。


油断すれば漆黒の闇に飲まれてしまいそうな程、脆く、儚げに―…
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