水面(みなも)の月
「…っは、なんだ、これ。いきなり改まった手紙なんて書きやがって…
心配しないでなんて、意味わかんねぇし…」
感情を押し殺すために、わざとらしく笑ってみた。
が、乾いた笑みすら浮かばない。
温かい雫が頬を伝って、便箋の模様にぽたり、と落ちた。
溢れる雫は止まることを知らず、文字を滲ませた。
視界がぼやけて、前が見えない。
「…はっ、駄目だなぁ…俺。」
この感情を何処にぶつければいいかわからず、自嘲気味にまた笑った。