無花果
カッコイイと姉の口から聞こえた途端、オレは顔がほてるのを感じて顔を背けた。

他の女になんか興味ない。

目の前の貴女が好きだと言えたらどんなに良いか。

「種果、帰ったのか」

義父がリビングに入って来た。

実の父ではないが、本当の子どもの様によくしてくれる。

進学校も彼が一番、薦めてくれた。

「ただいま」

「遅すぎぞ。お前はまだ高校生なんだぞ」

「分かってる」

「なら、早く帰ってきなさい」

「…」

姉は何も言わず義父の横を通って行った。

階段を上る音がすると彼はため息をついた。

「天耶、まだ勉強してたのか?程々にしなさい。お前たちは、根を詰める所はよく似ているよ」

一緒に住めば、似てくるのだなと、義父は笑った。

血が一滴も繋がっていないオレと種果。

それでも弟と姉という関係がオレを縛りつける

「種果ちゃん、帰ってきたの?」

義父の後ろからオレの血の繋がった母親が出てきた。
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