【完】愛し君へ、愛の口づけを
確かに、
うっとおしいし生意気だし
可愛いわけでもなければスタイルがいいわけでもない。
口うるさいし、結構わがままだし
俺が道具としか見てこなかった女たちと同じところだっていっぱいある。
だけど・・・。
俺の事を
ちゃんと一人の"家族"として見てくれている。
恋とか愛とか、そういう問題じゃない俺の心の隙間を
こいつは数週間であっという間に埋めてくれた。
「お兄ちゃん!ご飯よそってくれるー?」
「・・・」
「お兄ちゃん?」
こいつは実の父親に捨てられたも同然。
もちろん、実の母親だって親権をもらわなかったって事は同じ事。
もう俺にしか頼れないんだ。
だけど俺は毎日毎日突き放したり
冷たく当たったり、どなったり。
「ねー!聞いてるのー?」
俺は莉央を抱きしめていた。