【完】愛し君へ、愛の口づけを
・・・俺は、俺自身をごまかしきることはできなかった。
前から気付いていたんだ。
莉央がある男子生徒に好意を寄せていた事。
俺は学校で二人の姿を何回か見たことがあった。
だけど、俺は見てみないふりをしてきた。
あまりにも嬉しそうに、
あまりにも楽しそうに笑う莉央。
俺の前では見せない表情を知らない奴の前で出している。
そんな所見たくなかった。
だから俺は
"あいつらはただのクラスメイト"と決めつけていた。
「んだよこれ・・・」
胸が熱く、苦しく、何かを求めている。
「俺は・・・」
誰かを愛おしく求めている。
狂おしいほどに。
「・・・莉央」
俺は莉央が好きだ。
兄妹としてではない。
一人の女として、俺はいつの間にか莉央の事を見ていたんだ。