【完】愛し君へ、愛の口づけを
ふとケータイを見るとメールが一通届いていた。
俺は急いで受信ボックスを開き、中身を見た。
【昨日はごめんなさい・・・。帰りずらくて友達の家に泊まりました。今日は祝日で休みだったし。連絡もたくさんくれてたのに返せなくて本当ごめん】
俺は莉央のメールにこう返した。
【帰ってこい】と。
莉央が帰ってきたらそっと抱きしめてやろう。
昨日見た夢も何もかも忘れて。
そして謝って、俺の気持ちを莉央に伝えよう。
莉央が気持ちに答えてくれなくてもいい。
・・・そうすれば
きっと俺の心もまた静まるはずだ。
そして数時間後。
莉央が帰ってきた。
「おかえり」
「・・・ただいま」
俺は優しく莉央を抱きしめた。
「ごめんな」
「う、うん。私もごめん」
「俺・・・莉央を翔にとられたくなくて、脅すような事言った。本当ごめん」
「あははっ・・・たかが妹なのに。お兄ちゃんのヤキモチ焼き」
「・・・ああ」
「私も、翔君の事・・・好きだからさ。思わずお兄ちゃんにあんな・・・本当ごめんね?」
『翔君の事・・・好きだから』
俺は莉央のその言葉を聞いた瞬間に、
抱きしめる力を強めた。