【完】愛し君へ、愛の口づけを
「お兄ちゃん苦しいよ・・・っ?」
「あいつが好きって言ったか?」
「言ったけど・・・?」
「男として好きなのか」
「そういうことに・・・なるのかな」
胸の鼓動は早くなる。
止まらない。
莉央の姿を見て、気づいてただろ。
・・・恋する女の顔だって。
こんな状態で俺が莉央に気持ちを伝えてどうする。
言えるわけない。
そしたら俺の気持ちの向かう先はどこだ。
このまま莉央を翔の傍に置いておけば
確実に二人は付き合うことになる。
翔もきっと莉央の事を好いているから。
・・・いいのか?
俺の望みはそれか?
違うだろ。
──莉央を俺だけのものにしたい
それが答えだ。