【完】愛し君へ、愛の口づけを
大切な莉央。
その莉央を傷つけている。
俺が先走って
自分勝手に興奮して
莉央を傷つけて
挙句、体まで傷つけた。
「莉央、好きだよ」
「・・・」
「愛してる」
「・・・」
「ごめんな?・・・最低だ」
持っていたはさみを俺は自分に向けた。
「莉央を傷つけて悲しませた。俺なんて、死ねばいい」
思いきり自分の心臓につきたてようとしたその時。
「いやぁっ!!!!」
「・・・莉央?」
泣きながら俺の方を見ている。
「死んじゃヤだ。ヤだよお兄ちゃん・・・」
さっきまでどうやっても反応しなかったのに。
一体どうして。
「私お兄ちゃんの事大好き」
「は・・・?」
「世界で一番大好き」
「何言ってんだよ」
「翔君なんかよりも、もっともっと大好き」
「そんなはずねぇだろ?俺はお前に・・・お前にひどい事・・・」
「すごく痛かった、辛かった、苦しかった。でも、毎日毎日思うの。逃げようと思えば逃げられた場面なんてたくさんあったのに私は逃げなかった理由を」