【完】愛し君へ、愛の口づけを
昼休み。
案の定莉央は翔と一緒にいた。
別にのぞき見しに来たわけじゃない。
飯を買いにきたら、莉央たちがいたって感じだ。
「なぁ、なんで何も話してくれないんだよ」
「・・・」
「何があったんだよ、休んでる間に!」
「あ、お兄ちゃん♪」
莉央は翔の言葉を無視して俺に駆け寄ってきた。
「お兄ちゃんもご飯買いに来たの?」
「おう」
「私もー!」
「そういや金持ってんのか?」
「一応!お父さんに私用に預金通帳くれたから!」
「え、まじかよ」
「マジだよー」
・・・不覚にも知らなかった俺。
って言っても
俺も元母親に俺用通帳もらってるけど。
じゃなきゃバイトしても生活用に金が足りなさすぎるし。
「・・・あの」
翔が俺に声をかけてきた。
莉央は知らないふりだ。
「ん?」
「どうして、連絡してくれなかったんですか?」
「は?」
「莉央さんが帰ってきたら連絡してくださいって言ったじゃないですか!」
「・・・んなの忘れたよ」
俺も翔を適当にあしらい、莉央と一緒にその場を後にした。